はじめに
前回の記事の続きです。
前回の記事はこちら
テキスト処理
前回同様テキスト処理についてやっていきます。
テンプレートの処理をやっていきましょう。
テンプレートとは何か
テンプレートとはどういうものかですね、Java
なら .jsp
ファイルだったり、 PHP
ならCakePHPの.ctp
だったり、Laravelのblade
ファイルだったりで使用されている、
変数を埋め込めるような機構のことですね。
おそらくあなたはMVCのデザインパターンについて聞いたことがあると思います。
Modelはデータを処理を、Viewは表示結果を、Controllerはユーザのリクエストの制御を行います。
Viewレイヤーの処理では、多くの動的な言語ではどれも静的なHTMLの中に動的言語が生成したデータを挿入します。例えばJSPでは<%=….=%>を挿入することで、PHPではを挿入することで実現します。
Goのテンプレートの使用
以前のフォームの処理などでも使っていましたね、.gtpl
ってやつです。
Go言語では、templateパッケージを使用してテンプレートの処理を行います。
Parse、ParseFile、Executeといった方法を使ってファイルや文字列からテンプレートをロードします。その後植えの図で示したテンプレートのmerge操作のようなものを実行します。下の例をご覧ください
func handler(w http.ResponseWriter, r *http.Request) {
t := template.New("some template") //テンプレートを新規に作成する。
t, _ = t.ParseFiles("tmpl/welcome.html", nil) //テンプレートファイルを解析
user := GetUser() //現在のユーザの情報を取得する。
t.Execute(w, user) //テンプレートのmerger操作を実行する。
}
なるほど、
- テンプレートファイルの作成
- テンプレートファイルの解析
- 変数の埋め込み(merger操作)
のような順序なわけですね。
どのようにしてテンプレートの中にデータを挿入するのか?
これが一番知りたいところですね。
上においてどのように解析とテンプレートの適用するかデモを行いました。以降ではさらに詳しくどのようにデータを適用していくのか理解していきましょう。テンプレートはすべてGoのオブジェクト上で適用されます。Goオブジェクトのフィールドはどのようにしてテンプレートの中に挿入されるのでしょうか?
フィールドの操作
Go言語のテンプレートは{{}}を通して適用時に置換する必要のあるフィールドを含めます。{{.}}は現在のオブジェクトを示しています。これはJavaやC++の中のthisに似たものです。
なるほど、今まで使ってきた {{}}
が変数を呼ぶためのもの構文だったわけです。
もし現在のオブジェクトのフィールドにアクセスしたい場合は{{.FieldName}}というようにします。ただし注意してください:このフィールドは必ずエクスポートされたものとなります(頭文字が大文字になります)、さもなければ適用時にエラーを発生させます。
ほうほう。
例を実行してみます。環境はいつものです。
package main
import (
"html/template"
"os"
)
type Person struct {
UserName string
}
func main() {
t := template.New("fieldname example")
t, _ = t.Parse("hello {{.UserName}}!")
p := Person{UserName: "Astaxie"}
t.Execute(os.Stdout, p)
}
出力結果
bash-5.0# go run template.go
hello Astaxie!bash-5.0#
できていますね、 .UserName
でちゃんと出力されています。
上のコードでは正しくhello Astaxieと出力されます。しかしもしコードに修正を加え、テンプレートにエクスポートされていないフィールドを含むと、エラーを発生させます。 上のコードはエラーを発生させます。なぜならエクスポートされていないフィールドをコールしたためです。しかしもし存在しないフィールドをコールした場合はエラーを発生させず、空文字列を出力します。
やってみましたが、空文字が出力されているようですね。
先ほどと同じ出力に見えます。
bash-5.0# go run template.go
hello Astaxie! bash-5.0#
ネストしたフィールドの内容の出力
上の例でどのようにひとつのオブジェクトのフィールドを出力するか示しました。もしフィールドの中にまたオブジェクトがある場合は、どのようにループしてこれらの内容を出力するのでしょうか?ここでは{{with …}}…{{end}}と{{range …}}{{end}}によってデータを出力することができます。
オブジェクトの中のオブジェクトだったり、配列とかはどうすればいいの?という感じですね。
ここで解決できるようです。
{{range}} はGo言語の中のrangeに似ています。ループしてデータを操作します {{with}}操作は現在のオブジェクトの値を指します。コンテキストの概念に似ています。
ほうほう。
早速サンプルを試してみます。
package main
import (
"html/template"
"os"
)
type Friend struct {
Fname string
}
type Person struct {
UserName string
Emails []string
Friends []*Friend
}
func main() {
f1 := Friend{Fname: "minux.ma"}
f2 := Friend{Fname: "xushiwei"}
t := template.New("fieldname example")
t, _ = t.Parse(`hello {{.UserName}}!
{{range .Emails}}
an email {{.}}
{{end}}
{{with .Friends}}
{{range .}}
my friend name is {{.Fname}}
{{end}}
{{end}}
`)
p := Person{UserName: "Astaxie",
Emails: []string{"astaxie@beego.me", "astaxie@gmail.com"},
Friends: []*Friend{&f1, &f2}}
t.Execute(os.Stdout, p)
}
出力結果です。
bash-5.0# go run template2.go
hello Astaxie!
an email astaxie@beego.me
an email astaxie@gmail.com
my friend name is minux.ma
my friend name is xushiwei
bash-5.0#
ちゃんとループして出力されていますね。
条件分岐
Goテンプレートにおいてもし条件判断が必要となった場合は、Go言語のif-else文に似た方法を使用することで処理することができます。もしpipelineが空であれば、ifはデフォルトでfalseだと考えます。
条件で表示/非表示で if-else
を使用したいときに必須ですので、このあたりも欲しいですね。
早速サンプルを試してみます。
package main
import (
"os"
"text/template"
)
func main() {
tEmpty := template.New("template test")
tEmpty = template.Must(tEmpty.Parse("空の pipeline if demo: {{if ``}} 出力されません。 {{end}}\n"))
tEmpty.Execute(os.Stdout, nil)
tWithValue := template.New("template test")
tWithValue = template.Must(tWithValue.Parse("空ではない pipeline if demo: {{if `anything`}} コンテンツがあります。出力します。 {{end}}\n"))
tWithValue.Execute(os.Stdout, nil)
tIfElse := template.New("template test")
tIfElse = template.Must(tIfElse.Parse("if-else demo: {{if `anything`}} if部分 {{else}} else部分.{{end}}\n"))
tIfElse.Execute(os.Stdout, nil)
}
出力結果
bash-5.0# go run template3.go
空の pipeline if demo:
空ではない pipeline if demo: コンテンツがあります。出力します。
if-else demo: if部分
bash-5.0#
template.Must
と出てきましたが、ラップ関数のようですね。tEmpty = template.Must~~
と tEmpty, _ = template.Parse~~
は同じです(errorを受け取るか受け取らないかですね)。
Must is a helper that wraps a call to a function returning (*Template, error) and panics if the error is non-nil.
https://golang.org/pkg/text/template/#Must
pipelines
Unixユーザはpipeについてよくご存知でしょう。ls | grep “beego"のような文法はよく使われるものですよね。カレントディレクトリ以下のファイルをフィルターし、“beego"を含むデータを表示します カレントディレクトリ以下のファイルをフィルターし、“beego"を含むデータを表示します。前の出力を後の入力にするという意味があります。最後に必要なデータを表示します。Go言語のテンプレートの最大のアドバンテージはデータのpipeをサポートしていることです。Go言語の中でいかなる{{}}の中はすべてpipelinesデータです。
確かに、パイプラインをテンプレートでサポートしているのは強いですね。(私は未熟なので、どこのテンプレートでも見たことないです。)
例えば上で出力したemailにもしXSSインジェクションを引き起こす可能性があるとすると、どのように変換するのでしょうか?
{{. | html}}
emailが出力される場所では上のような方法で出力をすべてhtmlの実体に変換することができます。
上のコードで、サニタイズができるわけですね。(phpのhtmlspecialchars
の関数みたいな感じですね。)
テンプレート変数
ときどき、テンプレートを使っていてローカル変数を定義したい場合があります。操作の中でローカル変数を宣言することができます。
<?php $localVariables = 'local' ?>
みたいに、テンプレート内での変数宣言ですね。$variable := pipeline
{{with $x := "output" | printf "%q"}}{{$x}}{{end}}
{{with $x := "output"}}{{printf "%q" $x}}{{end}}
{{with $x := "output"}}{{$x | printf "%q"}}{{end}}
便利そうですね。
テンプレート関数
テンプレートがオブジェクトのフィールドの値を出力する際、fmtパッケージを採用してオブジェクトを文字列に変換します。
しかしときどき我々はこうしたくはないときもあります。例えばスパムメールの送信者がウェブページから拾い集めてくる方法で我々のメールボックスへ情報を送信することを防止したいときがあります。
なるほど?filter
的なやつですね
各テンプレート関数はいずれも単一の名前をもっていて、一つのGo関数と関係しています。以下の方法によって関係をもたせます。 type FuncMap map[string]interface{}
ほう?
例えば、もしemail関数のテンプレート関数の名前をemailDealとしたい場合は、これが関係するGo関数の名前はEmailDealWithとなります。下の方法でこの関数を登録することができます。
t = t.Funcs(template.FuncMap{"emailDeal": EmailDealWith})
サンプルコードを早速動かしてみましょう。
package main
import (
"fmt"
"html/template"
"os"
"strings"
)
type Friend struct {
Fname string
}
type Person struct {
UserName string
Emails []string
Friends []*Friend
}
func EmailDealWith(args ...interface{}) string {
ok := false
var s string
if len(args) == 1 {
s, ok = args[0].(string)
}
if !ok {
s = fmt.Sprint(args...)
}
// find the @ symbol
substrs := strings.Split(s, "@")
if len(substrs) != 2 {
return s
}
// replace the @ by " at "
return (substrs[0] + " at " + substrs[1])
}
func main() {
f1 := Friend{Fname: "minux.ma"}
f2 := Friend{Fname: "xushiwei"}
t := template.New("fieldname example")
t = t.Funcs(template.FuncMap{"emailDeal": EmailDealWith})
t, _ = t.Parse(`hello {{.UserName}}!
{{range .Emails}}
an emails {{.|emailDeal}}
{{end}}
{{with .Friends}}
{{range .}}
my friend name is {{.Fname}}
{{end}}
{{end}}
`)
p := Person{UserName: "Astaxie",
Emails: []string{"astaxie@beego.me", "astaxie@gmail.com"},
Friends: []*Friend{&f1, &f2}}
t.Execute(os.Stdout, p)
}
出力結果
hello Astaxie!
an emails astaxie at beego.me
an emails astaxie at gmail.com
my friend name is minux.ma
my friend name is xushiwei
bash-5.0#
Must操作
テンプレートパッケージにはMustという関数があります。この作用はテンプレートが正しいか検査することです。例えば大括弧が揃っているか、コメントは正しく閉じられているか、変数は正しく書かれているかといったことです。
ほほう、検証メソッドのようですね。
さっき、置き換え可能とかいってましたがぜんぜん違う関数ですね。。
サンプルコードを早速動かしてみましょう。
package main
import (
"fmt"
"text/template"
)
func main() {
tOk := template.New("first")
template.Must(tOk.Parse(" some static text /* and a comment */"))
fmt.Println("The first one parsed OK.")
template.Must(template.New("second").Parse("some static text {{ .Name }}"))
fmt.Println("The second one parsed OK.")
fmt.Println("The next one ought to fail.")
tErr := template.New("check parse error with Must")
template.Must(tErr.Parse(" some static text {{ .Name }"))
}
出力結果
bash-5.0# go run template5.go
The first one parsed OK.
The second one parsed OK.
The next one ought to fail.
panic: template: check parse error with Must:1: unexpected "}" in operand
goroutine 1 [running]:
text/template.Must(...)
/usr/local/go/src/text/template/helper.go:23
main.main()
/go/src/app/template5.go:18 +0x566
exit status 2
bash-5.0#
ネストしたテンプレート
Webアプリケーションを作る時はテンプレートの一部が固定され不変である場合がよくあり、抜き出して独立した部分とすることができます。例えばブログのヘッダとフッタが固定で、変更があるのは真ん中のコンテンツの部分だけだとします。そのためheader、content、footerの3つの部分として定義することができます。
これは、よくあるものですね。
共通のテンプレートがあるような場合ですね。
{{define “サブテンプレートの名前”}}コンテンツ{{end}}
ほうほう
以下の方法によってコールします:
{{template “サブテンプレートの名前”}}
サンプルコードを早速動かしてみましょう。
package main
import (
"fmt"
"os"
"text/template"
)
func main() {
s1, _ := template.ParseFiles("html/header.tmpl", "html/content.tmpl", "html/footer.tmpl")
s1.ExecuteTemplate(os.Stdout, "header", nil)
fmt.Println()
s1.ExecuteTemplate(os.Stdout, "content", nil)
fmt.Println()
s1.ExecuteTemplate(os.Stdout, "footer", nil)
fmt.Println()
s1.Execute(os.Stdout, nil)
}
bash-5.0# go run template6.go
<html>
<head>
<title>デモンストレーションの情報</title>
</head>
<body>
<html>
<head>
<title>デモンストレーションの情報</title>
</head>
<body>
<h1>ネストのデモ</h1>
<ul>
<li>ネストではdefineを使用してサブテンプレートを定義します。</li>
<li>templateの使用をコール</li>
</ul>
</body>
</html>
</body>
</html>
bash-5.0#
上手く行ってますね、これでテンプレートを共通化できそうです。
上の例でtemplate.ParseFilesを使ってすべてのネストしたテンプレートをテンプレートの中にパースできることがお分かりいただけたかと思います。
各定義の{{define}}はすべて独立した一個のテンプレートで、互いに独立しています。
並列して存在している関係です。内部ではmapのような関係(keyがテンプレートの名前で、valueがテンプレートの内容です。)が保存されています。
なるほど
その後ExecuteTemplateを使って対応するサブテンプレートの内容を実行します。headerとfooterのどちらも互いに独立していることがわかります。どれもコンテンツを出力できます。contentの中でheaderとfooterのコンテンツがネストしているので、同時に3つの内容を出力できます。しかし、s1.Executeを実行した時、何も出力されません。デフォルトではデフォルトのサブテンプレートが無いからです。そのため何も出力されません。
基本は、 content
を出力すれば、header
とfooter
を含んでいるので目的のページが表示されますね。
おわりに
template
は結構長いですが、Web開発には必須ですね。
次回は「ファイルの操作」です。